「春菊」なのに冬が旬 香りにリラックス効果がある栄養豊富な野菜

春が名前についているにも関わらず、その旬は冬。
春菊は一年を通じて流通している野菜ですが、特に寒い季節にその真価を発揮します。この香り高い緑の葉は、単なる料理のアクセント以上の存在。実は春菊の香りにはリラックス効果があります。しかし、香りだけが春菊の魅力ではありません。

本記事では春菊の旬だけでなく、新鮮なものの選び方や栄養素などについて徹底解説します。

香りが特徴的な野菜

春菊の独特の香りは、好きな人にはたまらないものです。ここでは、その香りがどのように私たちの心と体に影響を与えるのか、また、春菊の種類についても詳しく解説します。

独特な香りにはリラックス効果も

春菊の香りは一度嗅いだら忘れられないものがありますが、その背後には驚くべき健康効果が隠されています。この香りの主成分は「αピネン」と「ぺリルアルデヒド」で、それぞれが独自の効果を持っています。

αピネンは、マツやヒノキなどの針葉樹に多く含まれる成分です。森林浴がリラックス効果をもたらすのは、このαピネンが大きく関与しています。
春菊の香りがもたらすリラックス効果は、副交感神経の働きを助けるとも言われています。副交感神経は、リラックスや安心感をもたらす神経であり、春菊の香りがこの神経に作用することで、より深いリラックス状態を得られる可能性があります。

ぺリルアルデヒドは強い抗菌・殺菌作用を持つ成分で、シソの葉にも多く含まれています。この成分は、食中毒を防ぐ効果や、胃腸の働きを助ける効果があります。

中葉種が主流 関西では大葉種

春菊にはいくつかの種類がありますが、日本で最も一般的なのは中葉種です。中葉種は葉幅が広く、切れ込みも多い特徴があります。特に側枝の発生が旺盛で、株ごと収穫する株張り型と、側枝がよく伸びて摘み取り収穫に適した株立ち型、中間型が存在します。

一方で、関西地方では大葉種が好まれています。大葉種はその名の通り葉が大きく、切れ込みが浅いのが特徴です。大葉種は、たとえばお好み焼きやたこ焼きなど、関西独自の料理によく使用されます。

最近では、アクが少なくサラダなどでそのまま食べられる新しい品種も開発されています。

春菊の旬とは?

春菊という名前から春の野菜だと思われがちですが、実は旬は冬季にあたります。ここでは、春菊が一番おいしいとされる時期やその栄養成分について詳しく解説します。

春菊が一番おいしい時期

春菊は特に11月から3月にかけてが最もおいしい時期とされています。この期間中に収穫される春菊は、茎や葉が柔らかく、香りも高いです。
春菊は加熱し過ぎると苦味が増すため、料理方法にも工夫が必要です。鍋物などでは最後に投入すると、その独特の香りと風味を楽しむことができます。

生育のための適温は15~20℃ですが、比較的暑さにも寒さにも強く、トンネルやハウス栽培により通年で流通しています。

春菊は元来傷みやすい野菜です。しかし、流通の技術発達により、低温を維持したまま店頭まで届けられるようになったため、新鮮な春菊を購入できるようになっています(いわゆる『コールドチェーン」)。

春菊の栄養成分

春菊はビタミンやミネラルが豊富に含まれています。特に、βカロテンの高い含有量が注目されていますが、それだけではありません。ビタミンC、ビタミンK、鉄分、カルシウムなど、多くの栄養素がバランスよく含まれているのです。ここでは、春菊に含まれる主要な栄養成分とその健康効果について詳しく解説します。

βカロテンの豊富さ

βカロテンは、体内でビタミンAに変わるプロビタミンAとして知られ、抗酸化作用があります。日本食品標準成分表(八訂)によれば、可食部100g当たりの生の春菊には、約7,700μgのβカロテンが含まれています。

βカロテンは目の健康を保つ働きがあり、特に夜間視力の低下を防ぐ効果があるとされています。また、皮膚や粘膜の健康維持にも寄与し、免疫力を高める効果もあります。

βカロテンを多く含む食材としては、にんじんやかぼちゃ、トマトなどがありますが、春菊はこれらの野菜と比較しても高い含有量を誇ります。そのため、春菊を積極的に食事に取り入れることで、多くの健康効果を期待することができます。

料理方法によっては、βカロテンが破壊されやすい点に注意が必要です。たとえば、長時間の加熱調理は避け、蒸し物や炒め物、もしくはサラダなどでそのまま楽しむ方法がおすすめです。

春菊の健康効果

春菊はβカロテン以外にも、多くの栄養素が含まれています。特にビタミンC、ビタミンK、鉄分、カルシウムが豊富です。可食部100g当たりの生の春菊にはビタミンCが約43mg、ビタミンKが約300μg、鉄分が約2.2mg、カルシウムが約150mg含まれています。

ビタミンCは抗酸化作用があり、風邪の予防や美肌効果が期待されます。
ビタミンKは骨をじょうぶにする作用があり、骨粗しょう症の予防にも有用です。
鉄分は貧血予防に効果的で、特に女性には欠かせない栄養素です。
カルシウムは骨や歯を健康に保つだけでなく、神経の働きを正常に保つ効果もあります。

食物繊維も豊富で、便秘解消やダイエットにも効果的です。食物繊維は、腸内環境を整える働きもあり、健康な腸内フローラを維持するためにも重要です。

また、春菊には葉酸も含まれています。葉酸は、妊娠初期の女性に特に推奨される栄養素で、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを減らす効果があります。

選び方と保存方法

ここでは春菊を選ぶ際のチェックポイントから、新鮮な状態を長く保つ保存方法まで、詳しく解説します。
購入する際には、色の鮮やかさや茎の太さ、葉の形状など、いくつかのポイントに注意を払うことで、新鮮で質の高い春菊を手に入れることができます。

購入時のチェックポイント

春菊を購入する際には、いくつかのポイントを押さえておくと、新鮮でおいしいものを手に入れることができます。

  1. 春菊の葉は色が濃く鮮やかであるほど新鮮です。葉先まで元気なものを選びましょう。色が褪せて黄色くなっているものは避けるようにしましょう。
  2. 茎が太すぎず、やや細い方が柔らかくおいしいとされています。また、茎に張りがあり、下の部分にも葉がしっかりとついているものが良いとされています。
  3. 春菊の葉にはギザギザがありますが、その浅いものは苦味や香りが穏やかです。逆に、切れ込みが深いものは風味が強いです。これは好みに応じて選ぶポイントとなります。

長持ちさせる保存方法

最も一般的な保存方法は冷蔵庫での保存です。春菊は水分を多く含むため、乾燥を防ぐことが重要です。そのため、キッチンペーパーで包んだ後、ビニール袋に入れて冷蔵庫の野菜室で立てて保存するとよいでしょう。

冷凍保存も一つの方法ですが、その前に春菊は下茹でしておくのがおすすめです。かために下茹でした後、水分をしっかりと取り除き、ジッパー付きの保存袋などに入れて冷凍します。

いずれにしても、春菊が傷んでいる場合、保存期間が短くなる可能性があります。購入時にしっかりと品質をチェックしておいて、新鮮なものを選ぶように心掛けましょう。

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