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関東風お雑煮と言っても
「関東風」と言っても、関西(主に京都?)の白味噌仕立てに対し、「しょうゆ仕立て」と言うぐらいで、作り方や具材の種類はおうちやお店によって千差万別です。周りのRepro開発チームスタッフに聞いても、「うちは大根とにんじんだけ」、「うちは白菜が入る」、「さといもは入れないなあ」とかとか…
ちなみに筆者は、吉祥寺生まれの湘南育ち。ただ父は北海道出身で母は茨城県出身。いったい我が家のお雑煮はどこの地方のどんな由来のものなのか?という感じです。「関東」を代表するのもおこがましいので、今回は我が家の、と言うか先年亡くなった母が作っていたお雑煮を「舌コピ」したレシピをご紹介します。
今年最後のコラム記事
前回の「魔改造電動かつお節削り器」で、昆布とかつお節のだしを取るのに画期的な省力化が図れました。詳しくはこちら。
黒豆を炊いたり、煮物を作ったり、年末はReproが特に大活躍する時期です。和食屋さんはようやくおせち料理の仕込みが一段落した頃、一般のお家ではそろそろおせち料理やお雑煮の準備が佳境に入る感じでしょうか。
ということで、Reproユーザーに取って少しでも参考になればということで、今年最後のコラム記事を書かせていただきます。
お雑煮は実は繊細な料理
お雑煮は本来、お母さんがお正月に少し楽をするための料理だったのかもしれませんが、ほんの少しの違いで味わいが変わる繊細な料理だとも思います。
これからご紹介する我が家のお雑煮のレシピは、
昆布とかつお節の合わせだしをベースに、和食屋さんでよく使われる「雑煮椀」の割合で味付けしたものに、鶏もも肉の小口切り、大根、にんじん、さといも(もしくは小海老芋)を入れ、かまぼこ、餅、結び三つ葉をトッピングしたシンプルなものです。
基本的な作り方・手順は同じでも、例えば野菜を具だくさんにすれば、野菜の甘味が予想以上に出て、元の味付けよりかなり甘くなります。個人的には野菜の滋味を感じられて好きなのですが、「おだしで食べさせる」的な京都あたりの料亭だったら、すべての野菜を別に炊いて「炊合せ」にするかもしれません。(「お正月にお母さんが楽をする」という元のコンセプトとは正反対ですが)
鶏もも肉を使っているので、事前に霜降りしても脂が浮いてきます。終始一貫して「アク取りシート」を落としぶた代わりにかけると、クリアで元のだしのかつお節の香りが立った仕上がりになりますが、昆布・かつお節・鶏肉のうまみが渾然一体となった、あの独特の統一感は減ります。
そして最後は、出来立てをいただくのか、大量に作り置きするのか?でもだいぶ味わいは変わります。出来立てを出せば、まるでお店のようなだしの香りが立った味わいに。
でも1日ぐらい冷蔵庫に入ったお雑煮も味が馴染んで美味しいんですよねえ…(次第に汁のクリアさは失われていきますが)
このあたりのあんばいは、どんなお雑煮を目指すのかを考えて各自で調節してみてください。
我が家のお雑煮(2〜3人前)の材料
まずは材料から。
- 基本の合わせだし(魔改造電動かつお節削り器Ver.) 600ml
- 薄口しょうゆ 20ml
- みりん 10ml
- 大根 約2cm(70g)
- にんじん(小) 1/2〜1/3本(70g)
- さといも(小海老芋) 1〜2個(70g)
- 鶏もも肉小口切り 70g
- 紅白のかまぼこ 4切れ(2人分)
- 角餅 2個
- 切三つ葉 2本
- ゆずの皮 適量(※お好みで)
大根・にんじんは電子レンジで時短
大根・にんじんは5mm厚のいちょう切りにします。せっかく魔改造電動かつお節削り器でだし取りに省人化をしたので、こちらも時短レシピを。
下茹でする代わりに、ふたのできる耐熱容器に入れて、電子レンジで800W・1分間加熱します。
ちなみに大根とにんじんは別々に加熱しないと、大根がにんじんの色に染まってしまうのでご注意を。時短できるだけなく、下茹でより野菜のうまみを逃さないのでこの方法がお勧めです。
鶏肉は霜降りで下ごしらえ
鶏肉は表面の色が変わるまで、沸騰したお湯に入れてから冷水に取ります。
冷水に取ったらザルで水をかけながら表面にこびりついたアクを手で洗います。余分な脂も流れます。ひと手間ですが、これでだいぶ汁のクリアさが変わります。
お雑煮の味付けの基本は、いわゆる「雑煮椀」
お雑煮の味付けの基本は、よく和食屋さんが「雑煮椀の割」と呼んでいる割合にします。
【雑煮椀の割合】
だし:薄口しょうゆ:みりん=30:1:0.5
今回は、だし=600mlなので、薄口しょうゆ=20ml みりん=10ml になります。
ひと煮立ちさせてアク取り
汁と具材の材料を全部(さといもを除く)入れて、加熱をスタートします。
まずはひと煮立ちさせてアク取りをします。
で、ここからは私独自のやり方なのですが…
アク取りシートで、アク取りしてしまいます。一つはできるだけきれいにアクを取ってクリアな汁にしたいという目的があります。ただアク取りシートをかけたままだと脂も全部取ってしまいます。ですので、ひと煮立ちしてアクを吸収したらアク取りシートは取り外します。
Reproのレシピでは、軽く沸騰させてアクを取ったら、98℃に温度をキープして15分間加熱することになっています。アク取りシートは取り外してしまいましたが、アク取りシートのように液面にかぶせるものは、落としぶたの代わりになります。
そしてReproは保温性が高い環境だと98℃でもほとんどグツグツしないで、とても静かに煮物を炊いてくれます。
そこで登場するのが、この「セパレート紙」。本来は陶板焼きやせいろ蒸しする時に具材の下に敷く用途のもので、つまりは丸く切ったクッキングシートですね。
これは脂やアクを取らないので、アク取りシートを取ったら、このセパレート紙をかぶせて温度を安定させています。ちなみにReproを使っていても、いなくても煮物の上にこの手のシートを被せて使っている和食屋さんはちょくちょく見かけますね。
98℃で15分間加熱
セパレート紙をかぶせた上に、さらにふたもずらしてかけます。理由はもちろん温度を安定させるため。この状態で15分間98℃をキープして静かに煮込みます。(ちなみにこの写真は公式アプリのレシピ用なのでセパレート紙をかぶせていませんが)
さといもの準備
この15分の間に、さといもの皮を剥き、7mm厚の輪切りにします。
輪切りにしたら水に放っておきます。
「これだけではさといものぬめりが心配」という方には、さといものぬめり取りの方法を。
こちらを参考にしてください。
大根・にんじんの火入れチェックとさといも投入
15分経ったら、竹串などでにんじんや大根が柔らかくなっているかチェックしてください。
にんじん・大根に火が通っていたら、さといもを投入して、今度は98℃で10分間加熱します。この時もアクが気になる方は、最初のうちアク取りシートをかけて、アクを吸着したらセパレート紙に変えて、ふたをずらしてかけてください。
さといもの火入れチェックと加熱工程終了
10分経ったら、さといもの火入れチェックをしてください。中まで柔らかくなっていたら加熱工程は終了です。
すぐに召し上がるのも良いですが、せめて数時間、できれば一晩休ませると味が染み込み、全体が調和してカドが取れた美味しさになります。
トッピング 結び三つ葉など
関東風お雑煮にお約束の結び三つ葉を作りましょう。
沸騰したお湯に三つ葉の茎(葉の下ぎりぎりのところまで)を3〜5秒湯せんします。やけどにご注意を。湯せんし過ぎてもきれいに仕上がらないので最大5秒。湯せんしたら氷水にすぐ漬けて熱を取ります。
茎を半分に折りたたんで、ゆるく一重結びします。
糸三つ葉・根三つ葉・切三つ葉の違いとは
ところで、この時期三つ葉を買いに行くと、糸三つ葉、根三つ葉、切三つ葉と色んな種類の三つ葉が並んでいませんか?いったい何の違いが…
- 糸三つ葉 水耕栽培された三つ葉
- 根三つ葉 土寄せして葉が地上に出てきたら掘り出して根も付いたまま出荷される三つ葉
- 切三つ葉 最初から遮光した環境で育てられ、葉が開いた頃に光を当て緑にして根本を切って出荷する三つ葉
ということで切三つ葉は、単に根元を切ってある三つ葉なのではなく、最も手間がかかっている商品で、築地場外の八百屋さんや豊洲市場の青果部に行くと、びっくりするようにきれいな切三つ葉が、びっくりするようなお値段で売られています。
ただ、切三つ葉は圧倒的に三つ葉らしい香りと味がするのでお勧めです。ちなみに近所のマーケットに行ってみたら、糸三つ葉も切三つ葉も同じ値段で売られていました。
同じ値段なら、切三つ葉一択です!
餅・かまぼこ・結び三つ葉をトッピングして完成
最後に紅白のかまぼこ、結び三つ葉、焼いた餅をトッピングして完成です。お好みでゆずを少し添えても素敵です。
ということで、このReproレシピを「関東風お雑煮」として公開しました。
最後にごあいさつ
この記事が2024年最後の記事になります。今年も1年間お世話になりました。つたないコラムをお読みいただいたこと感謝の至りです。コラム記事がReproを使う上で、もしくはお料理をする、はたまた美味しい食事をいただく上で、少しでもご参考になれば幸いです。
今後もReproをご愛用いただき2025年も皆さまの食卓に笑顔が絶えないことをRepro開発チーム一同、心より祈念しております。
良いお年を。来年もよろしくお願いいたします。