そもそもReproの「動作(アクション)」にある「沸騰」という概念が、みなさんがイメージする、あのグツグツ煮え立つ「沸騰」ではないことについては、『Reproの「沸騰のお話し」基礎編』に詳しく書いているので、「沸騰ってグツグツさせるんじゃないの?」という方は、まずはそちらをお読みください。その上で、セッティングモード>沸騰設定を選択してOKボタンをタップしてみましょう。
するとこんな画面が表示されます。かんたんに言って「沸騰設定」には2つの機能があります。
(1)沸騰設定温度選択
(2)火力調節単位選択
(1)の沸騰設定温度選択の方は、『Reproの「沸騰のお話し」基礎編』を最後まで読んでいないと理解できないので、まずは簡単な(2)の「火力調節単位選択」から説明します。
話を分かりやすくするために、「レガシーモード」の画面を見てみましょう。レガシーモードは、その名前のとおり、Reproを従来のIHコンロのように使うためのモードです。
「従来のIHコンロ」は、弱火・中火・強火のように何段階かに火力が分かれていて、選択した火力で加熱します。Reproのレガシーモードも同様に、Reproの最大の特長である「温度一定」ではなく「火力一定」で加熱します。
暗くて見にくいのですが、この画像では、現在600Wの火力が選択されており、その上下は、620Wと580Wになっています。つまり現状、このReproは20W刻みという極めて細かい「刻み」で火力が調節できるようになっています。
Reproは最大出力1400Wですから、実に70段階刻みで火力調節ができることになります。
「そもそも、そんな細かい火加減の調節なんて必要あるの?」
という方、それが必要な料理もあるんです。
例えばフレンチのコンソメスープは、最後に「クラリフィエ」という工程があります。この工程では「ミジョテ(微笑むように)」と呼ばれる、水面がちょっとゆらゆらするぐらいの微妙な沸騰具合(当然ながら水温は100℃ではありません)を求められます。火加減がかなり難しいです。
Reproがないと、ずっとコンロの前に付きっきりになります。人手不足の昨今、ホテルでの披露宴はともかく、町のフレンチでコンソメスープがメニューに見当たらないのは、とても手間とコストがかかるのに、それほどのサプライズをお客様が感じてくれないからかもしれません。
ちなみに詳しくは、Reproレシピの「ビーフ・コンソメ 3(クラリフィエ編)」をごらんください。
改めて沸騰設定の画面に戻ります。上から3行目に、
「火力調節単位 小 20W単位」
という表示がされています。「コンソメスープ作らないから、もっと刻みを大きくしてよ」という方は、火力調節単位選択にカーソルを移動させ選択してください。
火加減の刻みを「大・中・小」の3段階に変更させることができます(デフォルトでは小)。
大 80W刻み 約17段階
中 40W刻み 35段階
小 20W刻み 70段階
変更する際にご注意いただきたいのは、この設定を変更するとレガシーモードの刻みだけではなく、マルチステップモードやシングルステップモードで「沸騰アクション」を使う場合の火力の刻みも大きくなってしまうことです。
それでは次に(1)「沸騰設定温度選択」の説明を。
上から2行目に
「沸騰設定温度 設定なし」
という表示があります。これは「沸騰設定温度がデフォルトの状態ですよ」ということを意味しています。すでに読まれているはずですが、『Reproの「沸騰のお話し」基礎編』に書かれていたことを思い出してください。
Reproの沸騰アクションでは、デフォルトで97℃までは、通常の加熱を行ないますが、97℃に達すると、それ以降は、普通の加熱が「保温フェーズ=温度一定」に移行する代わりに「一定火力フェーズ」となります。(これは外部センサー使用時で、本体センサー使用時には安全マージンを見て「95℃」に設定してあります)
沸騰設定では、この「97℃(95℃)」のことを「沸騰設定温度」と呼んでいます。
それでは「沸騰設定温度選択」を選択してみましょう。
「設定なし」の場合、デフォルトでは沸騰設定温度=97℃(95℃)ですが、90℃から1℃刻みで沸騰設定温度を変更できるのが、「沸騰設定温度選択」機能なのです。
先程お話した「クラリフィエ」などは、温度にすればせいぜい95℃に達するか達しないかというところ。97℃まで通常のように加熱してしまうとグツグツして、せっかくのコンソメが台無しになってしまうので、前もって低い温度で「一定火力フェーズ」に移行するように設定しておきます。
そして、もうひとつ。ここが大事なところですが、この沸騰設定温度は、単に沸騰アクションのときにだけ作動するわけでなく、通常の水温ターゲット=煮物の「加熱(低)アクション」でも作動しているのです。
つまり目標温度を98℃や99℃に設定したレシピがあった場合、標高が高いところに住む人や大きな台風の時などは、気圧が低いため沸点が下がり、いつまで経っても目標温度に達しない可能性があります。
そのため97℃以上の目標温度を設定した場合、デフォルトで97℃になるとピッとアラームが鳴り、保温フェーズに入り、それからさらに加熱して目標温度を目指すようになっています。
それでも標高が約1000mの軽井沢にお住まいの人は、沸点が96〜97℃まで下がっているので、95〜96℃ぐらいまで沸騰設定温度を下げておいた方が安全です。
1℃刻みの温度コントロールができると、沸点近くの目標温度は気圧の影響を受けやすいため、単純に繊細な調理をするためだけでなく、高地で使用するための機能でもあるのです。
このあたりは、動画でも説明していますので、お時間のある方は、
「トークライブRepro lab#4 沸騰のお話」
をごらんください。