タラの旬はいつ? 時期やおいしいタラの選び方を解説

冬の訪れとともに、多くの人々が楽しみにする白身魚のひとつが「タラ」です。タラは、寒い季節に身体を温める鍋料理や汁物に最適であり、多くの家庭で親しまれています。

一般的に市場で「タラ」として販売されているのは「マダラ」です。本記事では、マダラの旬について詳しく解説します。タラの特性から旬の時期、さらには選び方や保存方法に至るまで、マダラにまつわる知識をご紹介します。

タラの特性

一般的に「タラ(漢字では鱈)」として売られているのはマダラ(真鱈)です。マダラは、日本海側に広く分布している魚で、特に青森県から山陰地方(鳥取県および島根県)にかけての水深200~400m前後に生息しています。この魚は淡泊な白身魚であり、鍋物、汁物、塩焼き、昆布締め、みそ漬けなど、多様な料理に適しています。また、棒鱈(ぼうだら)として干されたものも有名で、京都では芋と一緒に煮て食べられます。

マダラは身だけでなく、白子(精巣)や真子(卵巣)も美味とされています。ヨーロッパや北アメリカにも近縁種が存在し、グラタンやブイヤベース、フリッターなどの洋食レシピにもよく用いられます。イギリスのフィッシュ&チップスにもタラが使われることがあります。

成魚は広域移動を行う個体と、比較的限られた海域でローカルな地域個体群を形成するものがいるとされています。成長については、1歳で体長18cm、5歳で63cm、8歳で81cmに達するとされており、寿命は約10歳と推定されています。

http://jsnfri.fra.affrc.go.jp/zukan/madara/index.html

タラの旬はいつなのか

マダラの旬はいつなのか、答えは一概には言えません。なぜなら、旬は地域や気候、さらにはその年の海の状態によっても変わるからです。しかし、一般的には冬季が旬とされています。

さらに、東京都中央卸売市場の統計によれば、この期間に流通するマダラの数量が多くなる傾向があります。

旬の時期

東京都中央卸売市場の統計によると、マダラの取扱量は特に11月から2月にかけて増加します。具体的には、令和4年11月に476,282kg、令和4年12月に488,512kg、令和5年1月に492,021kgと、この期間に最も多くのマダラが市場に出回っています。

この統計からも分かるように、マダラは冬季に旬を迎えます。特に1月から3月にかけてが最も美味しい時期とされています。この期間は産卵期であり、魚体がふっくらとして、身が締まります。

また、寒い季節には脂がのっているため、特に白子や真子(卵巣)が美味とされています。この時期に獲れるマダラは、身がしっかりとしていて、淡泊ながらも濃厚な風味があります。

旬のマダラは、沖合底びき網や小型底びき網、刺し網などで主に漁獲されます。特に北海道・東北地方での漁獲量がが多くなっています。

タラの栄養価

マダラは日本料理に欠かせない食材の一つですが、その美味しさだけでなく、栄養面でも注目されています。低カロリーでありながら高タンパク、さらにはビタミンやミネラルも豊富に含まれているため、健康にも優れた効果をもたらします。ここでは、マダラの栄養成分を詳細に見ていきます。

栄養成分

マダラはその低カロリーかつ高タンパクの特性から、健康志向の方にもおすすめの魚です。。では、具体的にどのような栄養成分が含まれているのでしょうか。

主な栄養成分(可食部100gあたり)

  • エネルギー: 72kcal
  • 水分: 80.9g
  • たんぱく質: 17.6g
  • 脂質: 0.2g
  • 炭水化物: 0.1g
  • 灰分: 1.2g

ミネラル

  • ナトリウム: 110mg
  • カリウム: 350mg
  • カルシウム: 32mg
  • マグネシウム: 24mg
  • リン: 230mg

ビタミン

  • ビタミンA: 10μg
  • ビタミンD: 1.0μg
  • ビタミンB1: 0.10mg
  • ビタミンB2: 0.10mg
  • ビタミンB6: 0.07mg
  • ビタミンB12: 1.3μg

成分量出典:食品成分データベース(文部科学省)

マダラは特にたんぱく質が豊富で、100gあたり17.6gも含まれています。これは筋肉の修復や成長、免疫力の向上に役立つ成分です。また、脂質は0.2gと非常に低く、ダイエット中の方にもおすすめです。

さらに、ビタミンB群が豊富に含まれており、特にビタミンB12は1.3μgと他の魚類に比べても高いレベルです。ビタミンB12は、神経系の健康を保つだけでなく、貧血予防にも効果があります。

ミネラルでは、カリウムが350mg含まれています。カリウムは、高血圧予防や筋肉の疲労回復に有用です。また、リンも230mgと多く、骨や歯の健康に寄与します。

タラの選び方と保存方法

マダラはその美味しさと栄養価で多くの人々に愛されていますが、その魅力を最大限に引き出すためには、選び方と保存方法が非常に重要です。特に、旬の時期に獲れるマダラはその鮮度が命。しかし、どれだけ新鮮なマダラを購入しても、保存方法が適切でなければその価値は半減してしまいます。

ここでは、スーパーマーケットなどで新鮮なマダラを見分けるためのポイントから、家庭での適切な保存方法までを詳しく解説します。

購入時のポイント

マダラを購入する際には、鮮度が非常に重要です。特にスーパーマーケットなどで購入する場合、以下のポイントを参考にして、新鮮なものを選びましょう。

身の透明度を確認する

マダラの切り身が透き通っているかどうかを確認します。時間が経過すると、切り身の色が濁ってきます。もし白くなっていたら、鮮度が落ちている可能性が高いです。「透明感」と「ハリ」がポイントになります。

皮の状態をチェックする

皮がつやつやとしていて、ヌメリがないかを確認します。ヌメリがある場合は、鮮度が落ちている可能性があります。

血合いの色を見る

マダラの皮と身の間にある血合いの部分も重要です。鮮やかな赤色であれば、鮮度が高いと言えます。

保存のコツ

新鮮なマダラを購入した後は、その鮮度をいかに保つかが次の課題です。

冷蔵保存の場合

マダラを冷蔵保存する場合は、購入後すぐに冷蔵庫に入れます。

保存袋に入れる前に塩を振り、キッチンペーパーで水分をしっかりと拭き取ります。ラップで包んで空気が入らないようにするとなお良いでしょう。

冷凍保存の場合

長期保存する場合は、冷凍がおすすめです。

切り身になっている場合は、冷蔵と同様に一枚ずつラップで包みます。また、調味料を一緒に入れて下味がついた状態で冷凍すれば、そのまま加熱調理すればいいだけなので便利です。

タラに関するトリビア

銀鱈はタラではない?

マダラとギンダラ(漢字で銀鱈)は、切り身の状態では一見似ているためよく混同されがちですが、実はまったく別の魚です。マダラは「タラ科マダラ属」と呼ばれる分類に属していますが、ギンダラは「ギンダラ科ギンダラ属」に属する魚です。
しかもギンダラはいわゆる深海魚で高級魚とされています。

ギンダラは脂がのっていてしっかりとした味が特徴です。そのため、焼き魚や煮付けに向いています。マダラは脂身が少なく、あっさりとしているので鍋物や揚げ物に最適です。

このように、マダラとギンダラは分類や生態、味わいには大きな違いがあります。

たらこはスケトウダラの卵が多い

「たらこ」と聞いて多くの人が思い浮かべるのは、おにぎりやパスタの具材として人気のある食材です。しかし、実はこの「たらこ」、漢字で「鱈子」と書くのでマダラの卵だと思われがちですが、実際には「スケトウダラ」の卵が主に使用されています。

スケトウダラは、北太平洋に広く分布している魚で、特にアラスカ周辺では大量に漁獲されます。このスケトウダラの卵巣は、日本に輸入されて「たらこ」として加工されることが多いのです。スケトウダラの卵は、粒が大きくて食感が良いため、たらこや明太子の原料として非常に適しています。

また、たらこと密接に関連する「明太子」についても触れておきましょう。明太子は、たらこの塩漬けに唐辛子や醤油などで味付けをしたもので、これもスケトウダラの卵が主に使用されます。そもそも韓国語でミョンテ(漢字で明太)はスケトウダラを指す言葉です。

ひげの生えたタラ?

「ヒゲダラ」と呼ばれている魚がいるのをご存じですか? 特に関東でよく呼ばれていますが、本当の名前は「ヨロイイタチウオ」。アシロ科ヨロイイタチウオ属で、生物学的にもまったくタラに関係ないのですが、あごのあたりがちょっと似ているので「ヒゲダラ」と呼ばれています。

サイズの大きいものは流通量も少なく、特に東京湾、ラーメンでも最近は有名な千葉・竹岡あたりで水揚げされるものは高級魚として珍重されています。
ちなみに東京・根津にある有名鮮魚店「根津松本」だと、写真の2切れで1,200円。昆布締めも美味しいですが、フライにしてみるのもおすすめです。

昆布締めにすると美味しいですが、フライも捨てがたいです。
身がふんわりして繊細な味なので、ソースよりは塩か醤油をかけて食すのが個人的なオススメになります。

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