揚げ物をする時は油をかき混ぜることの重要性

天ぷらや豚カツ、唐揚げなど高温での揚げ物料理をする時に、油をかくはんし続けることは、Reproを使っていようが、ガスコンロを使っていようが同じなのですが、まず最初にReproユーザーにひとこと。

「油温ターゲットを使用する場合は、必ず有線外部センサー(オプション品)をご使用ください」

本体センサーでも鍋プロファイルが完全に合っている鍋を使用すれば、ある程度の精度は保てますが、もしプロファイルにない鍋を使って本体センサーで高温の加熱をすると、最悪、事故につながる危険性があります。
正確な温度管理がしたければ、また安全性の面からも、必ず有線外部センサーをお使いください。

油をかくはんする方法

かくはんする方法は、この動画のように耐熱性のシリコンへらなどで、前後にかき混ぜるだけです。鍋底に熱い油の層が溜まっていることがあるので、優しく鍋底をさすりながら、へらを前後させてください。
Reproでもガスコンロでも、目標温度に達するまで、しつこくやり続けていただくとベストです。

なぜ油をかくはんする必要があるのか

油は水に比べて比熱が低い、すなわち温度が伝わりやすいのですが、一方で粘性(粘度)は水よりはるかに高い液体です。基本的に油は温度が高いと粘性は低くなるのですが、実際には天ぷらを作る170〜180℃ぐらいまで加熱しても、自力で対流してきれいに熱が拡散するほどには食用油の粘性は下がりません。
だから、かくはんしてあげないと「温度ムラ」が生じ、揚げ物がうまくできない原因になります。Repro的に言うなら正確な温度管理ができない原因になるのです。
実際に、加熱中の油がどのように「温度ムラ」を起こしているのかをサーモグラフィーで見てみましょう。

油をかくはんしないで加熱するとどうなるのか?

油をかくはんしないで加熱すると、鍋底で温められた油が、モコモコと上昇してきて、表面を覆っていきます。
大切なのは、最後のカットで白枠で囲まれた数字(=温度)です。
サーモグラフィーの温度は44〜45℃を表示しているのに対し、Reproのコントロール・ディスプレイ上の温度は30.2℃です。
サーモグラフィーの温度は油の表面温度を見ています。
コントロール・ディスプレイ上の温度は、油の中に深く入っている外部センサーが測定している下層の温度です。
最近はお風呂の性能も向上したので、だいぶそんな機会も減りましたが、

「表面を触って温かいから湯船に入ったら、中は水だった」

という昭和な体験のひどい状態です。水に比べて油の粘性は高いから、きちんと対流・拡散が起きず、「表面に熱い油の層ができるけど、下はまだ冷たい」という状態になるのです。
次は、油をかくはんしながら加熱するとどうなるのか?を見ていきましょう。

油をかくはんしながら加熱するとどうなるのか?

耐熱性のへらでかくはんしながら加熱しても、なかなか温度の高い部分と低い部分が均一になっていかないのがサーモグラフィーから分かります。
それでも、下の冷たい油の層と表面に上昇してきた熱い油の層が混ざり合ってくるので、かなり状況は改善されています。
こちらも最後のカットの白枠で囲まれた数字(=温度)に注目です。
サーモグラフィーの温度(=表面の温度)は41.7〜39.8℃を表示しているのに対し、Reproのコントロール・ディスプレイ上の温度は39.6℃。表面の温度も下層の温度もほぼ均一化されていることを示しています。
Reproで170℃を油温目標温度に設定して、まったくかくはんせずに加熱すると、表面だけ20℃近くも高温になっていました。
これはReproに限ったことでなく、従来のIHコンロでもガスコンロでも同じような状態が起きているはずです。
最後に、揚げる食材を入れるとどうなるのかも見てみましょう。

具材を投入する時にはどうする?

これは以前の「温度ドロップのおはなし」で、賀茂なすを165℃の油に投入した瞬間の画像です。
これもお風呂で体験するのと同じで、熱いお湯に入った時、じっとがまんしているとだんだん熱くなくなってきます。それは皮膚の表面で冷やされて、少しだけ温度の下がったお湯の薄い層が体を覆うから。
それと同じように、賀茂なすのまわりにも温度が低い油の層ができています。
だから揚げ物では、具材を入れたら少しゆらゆらと動かしてあげることが必要です。豚カツや唐揚げなど、衣があるものは衣に火が入って固まるまでちょっと待ってから、ゆらゆらしてあげましょう。
以上、「揚げ物をする時には油をかき混ぜるのが大事」というお話しでした。

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