白菜の旬は冬? 通年食べられる理由とは

白菜は冬の代表的な野菜として多くの家庭で親しまれていますが、通年で販売されています。

本記事では、そんな白菜の魅力に迫ります。まず、「白菜はそもそもどんな野菜なのか?」という基本から、白菜が最もおいしいとされる旬の時期、さらには栄養価について詳しく解説します。また、白菜を使った料理に欠かせない「選び方」と「保存方法」についても触れていきます。

白菜はそもそもどんな野菜?

白菜は、中国原産であり、東洋の代表的な野菜の一つです。英語では“Chinese cabbage(チャイニーズ・キャベツ)”と書きます。
日本での栽培は、日清・日露戦争時に出兵した兵士が種を持ち帰ったことから始まりました。

白菜は主に葉が巻いた結球タイプが一般的ですが、半結球や結球しないものもあります。低カロリーで水分が多く、カリウムとビタミンCが比較的多く含まれています。これらの栄養素は、高血圧の予防や免疫力の向上に役立つとされています。

白菜の旬 いつが最もおいしいのか

白菜の最もおいしい時期、いわゆる旬はいつかといえば、それは冬季になります。しかし、日本の広い地域と多様な気候によって、その旬や出荷時期は微妙に異なることもあります。ここでは、白菜が最もおいしくなる季節とその理由、さらには産地による旬の違いと出荷時期について詳しく解説します。

旬の時期と特性

白菜の旬は、11月から2月頃の秋から冬にかけてです。この時期は、白菜の糖分が増加し、甘みが増して、最もおいしくなります。また、葉が締まり、歯ごたえも良くなります。

白菜が最もおいしくなる理由は、寒さに耐えるためです。白菜は寒くなると糖分を蓄え、葉を締めて凍害から身を守ります。そのため、寒い時期の白菜は甘みが増して栄養価も高くなります。

産地によって変わる出荷時期

白菜の旬が11月から2月頃であることは先ほど説明しましたが、その旬や出荷時期は産地によっても異なる場合があります。日本は北から南まで広い範囲にわたり、気候も多様です。この多様な気候が、白菜の産地ごとの旬や出荷時期に影響を与えています。

たとえば、北海道では寒冷な気候が長く続くため、白菜の出荷は主に初夏から秋にかけて行われます。

一方で、関東地方では、冬季でも比較的温暖な気候が続くため、10月から2月にかけてが主な出荷時期となります。特に、茨城県や群馬県は白菜の主要な産地として知られており、この時期においしい白菜が市場に出回ります。

高地や山間部では、標高によって気温が低く、それが白菜の成長に適している場合があります。このような地域では、夏季でも白菜の出荷が行われることがあります。長野県は出荷時期が6月~10月であり、通年白菜が出回る理由がここにあります。

産地数量(kg)
1茨城県67,104,213
2長野県35,181,290
3群馬県6,932,717
4兵庫県1,768,671
5北海道841,871
東京都中央卸売市場の2022年9月~2023年8月の合計出荷量トップ5

白菜の栄養価

白菜は、見た目のシンプルさからは想像できないほど、多彩な栄養素を秘めています。特に、冬の旬にはその栄養価がさらに高まるため、この時期に積極的に摂取することがおすすめです。低カロリーでダイエットにも最適な白菜ですが、その実態はビタミンやミネラル、食物繊維など、健康促進に欠かせない成分が豊富に含まれています。これから詳しく解説する主要な栄養素とその効能を知ることで、白菜をより意味深く、そして美味しくいただく手がかりになるでしょう。

主要な栄養素とその効能

白菜は可食部100gあたりのエネルギーが13kcal非常に低カロリーです。これはダイエット中の方にも安心して摂取できる数値です。

ビタミンでは、免疫力を高める効果があるビタミンCが 19mgと比較的豊富に含まれています。高血圧の予防や筋肉の健康に有用なカリウムが220mg、骨や歯の健康に必要なカルシウムが43mg含まれるなど、ミネラルも豊富です。

ところで白菜は、大根やキャベツと同じ「アブラナ科」の植物です。そのため白菜を収穫せずにおくと、なんと春には「菜の花」の一種に育ちます。あの白菜の中心から茎が育ち、最後は黄色い花をつけるのですが、結球(もしくは半結球)の葉の部分は、そのために外側から中心部に栄養を送り、冬の間に蓄え続けます。

白菜はグルタミン酸を豊富に含み、うまみの強い植物ですが、栄養もうまみもその中心部に凝縮されています。

贅沢に白菜の菜心だけを使い、鳥のスープとともに煮込んだ「開水白菜」という中国料理は、宮廷で皇帝に献上される最高級のスープで、そこには濃厚なうまみと栄養が詰まっています。冬の白菜は、それだけで「だし」として使われることがあるほど、うまみと栄養に富んでいるのです。

白菜の選び方

質の良い白菜の選び方にはいくつかのポイントがあります。ここでは、白菜の選び方に焦点を当て、その形状や種類による選び方から、色や鮮度に至るまで、詳細にわたって解説していきます。これから白菜を購入する際の参考にしていただければと思います。

形状による違い

白菜を選ぶ際には、形状が重要なポイントとなります。まず、一般的には葉が巻いた結球タイプが多いですが、半結球や結球しないものも存在します。それぞれの形状によって、料理の適性が異なるため、用途に応じて選ぶことがおすすめです。

結球タイプ

このタイプは、頭部まで葉がしっかりと巻いており、日本で最もメジャーな白菜です。特に、内側が黄色みを帯びた黄芯系(円筒形)は、半分に切った際の美しさとおいしさから人気があります。
先がとがった形になっている砲弾形は秋から冬に出荷され、漬物として使用されています。

半結球タイプ

葉が半分程度しか巻いていないタイプです。葉が薄くて柔らかく、漬物用として関東周辺でよく栽培されています。

非結球タイプ

このタイプは、逆に葉が広がっています。炒め物や漬物によく用いられます。特に、葉が柔らかいので、調理時間を短縮できます。

ミニ白菜

近年、食べ切りサイズのミニ白菜も人気です。一人暮らしや少人数の家庭に最適で、無駄なく使えます。葉が柔らかいのでサラダにもおすすめです。

新鮮な白菜の選び方

カットされていない白菜を選ぶ場合

新鮮な白菜を選ぶ簡単な判断方法は、持ってみて重みがあるものです。
見た目では、外側の葉が鮮やかな色をしているもの、根に近い部分がふっくらしているものを選ぶと良いでしょう。

カットされた白菜を選ぶ場合

カットされた白菜を選ぶ際には、切り口がみずみずしく、断面が盛り上がっていないものが新鮮です。特に、パックされたものは保存状態も確認しましょう。

白菜の保存方法

旬の時期に購入した白菜のおいしさを最大限に活かすためにも、適切な保存方法も知っておくべきです。ここでは、白菜の保存方法について詳しく解説します。

基本は冷暗所で保存でOK

カットしていない白菜は、基本的には新聞紙などにくるんで冷暗所で保存すれば問題ありません。ただし、湿度が高い場所や直射日光が当たる場所は避けましょう。

カットしてある場合は冷蔵庫で保存し、早めに使い切るようにしましょう。白菜が吸湿しやすい性質を考慮して、ビニール袋などでしっかりと密封してください。

白菜は冷凍保存も可能ですが、白菜ならではのシャキシャキした食感は失われてしまいます。冷凍した白菜は、炒めものや汁物の具として使いましょう。冷凍して細胞が壊れているので、味は染み込みやすくなっています。冷凍した場合の保存期間は約1カ月程度です。
ちなみに軽く炒めてから保存すると、解凍後の食感や風味が良くなります。

白菜を使った郷土料理

白菜は日本全国で親しまれている野菜ですが、その使い方は地域によって多種多様です。各地の郷土料理にも白菜は使われています。

ここでは「広島菜漬けのおにぎり」と「漬物味噌煮」を例として紹介します。

広島菜漬けのおにぎり

出典:農林水産省「うちの郷土料理

広島県の郷土料理として知られる「広島菜漬けのおにぎり」は、広島菜という特有の野菜を使ったおにぎりです。
広島菜は白菜の一種で、繊維が少なく柔らかいため、浅漬けにすると歯切れがよく、ほんのりとした辛味が特徴です。

主産地の安佐南区では「餅菜」として、雑煮の具にも使われます。古漬けはお茶漬けとしても楽しめます。

広島菜は、江戸時代の参勤交代の際に京都から種子を持ち帰ったのが始まりとされています。そのため、「京菜(きょうな)」とも呼ばれ、京都の「壬生菜(みぶな)」がルーツとも言われています。

漬物味噌煮

岐阜県郡上市の郷土料理「漬物味噌煮」は、寒い冬に食べられる料理です。
漬物味噌煮には、白菜漬けやその他の季節の野菜を鍋に入れ、赤味噌、酒、砂糖、みりんなどと一緒に煮詰めます。特に、酸っぱいぐらいの古漬けの白菜が好まれます。また、味噌は豆味噌を使用することが多く、最近では肉を入れる家庭も増えています。

この料理の起源は、炭焼き小屋で働いていた人々が白菜の切り漬けを鯖缶に入れて食べたのが始まりとされています。現代では、肉を入れるなどのアレンジがされています。

地域の土産物店で「切り漬け」や「郡上味噌」が買えるため、自宅で作ることも容易です。

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