セロリの特徴と聞いて、何を思い浮かべますか? 多くの人は独特の香りとシャキシャキとした食感を挙げるでしょう。サラダやスープで使われているのをよく見かけるかもしれません。しかし、セロリが最もおいしく、栄養価も高い「旬」の時期については、意外と知られていません。日本でよく見かけるセロリは、一年中出回っているためです。
本記事では、セロリの魅力を多角的に解説し、その旬の時期や選び方、さらには栄養価まで、詳しくご紹介します。
目次
セロリとは?
セロリは、多くの人々にとっておなじみの野菜であり、その用途は非常に広範です。
ここでは、セロリの特性と用途、さらには主要な種類とその特徴について詳しく解説します。
セロリの特性と用途
セロリはセリ科オランダミツバ属に属する植物で、その原産地には諸説がありますが、地中海沿岸やインド周辺とされています。日本には16世紀末に加藤清正が持ち帰った中国種が始まりとされ、「清正人参(きよまさにんじん)」とも呼ばれました。また、オランダ人が長崎に持ち込んだ西洋種は「オランダ三つ葉」と呼ばれていました。
欧米では、セロリは肉の臭みを消すためや、煮込み料理、スープのベースとして使用されています。日本では、戦後に欧米の食文化が流入する形で、食用として普及しました。
セロリ独特の香りは、アピインという成分に由来するものです。この成分は、セロリ以外にもパセリなど、独特の香りがする野菜に含まれています。
立命館大学の研究によれば、植物がストレスに対応するためにアピインを作っており、抗酸化作用や昆虫を寄せつけないなどの作用があります。 そのため、人間でも抗がん作用や抗不安作用があると考えられているそうです。
セロリの用途としては、日本ではサラダや炒め物、スープなど多岐にわたります。特に、セロリの葉も捨てずにスープや炒め物に利用することで、一層風味が増します。
また、漢方としても利用されており、頭部の余分な熱を取る、余分な水分を取る、気持ちを落ち着かせる作用が認められています。
セロリの主な種類とその特徴
セロリには、大きく分けて「中間種」「緑色種」「ホワイトセロリ」の3種類があります。さらに、セロリの仲間として「セロリアック」があります。
中間種は、日本で最も一般的なセロリです。葉柄が太く、肉厚で、茎の色は緑色から黄色にかけてあります。香りが強く、サラダやスープ、炒め物など、さまざまな料理に使われます。
品種としては米・コーネル大学で育成された「コーネル619」が有名です。
緑色種は茎が緑色で、香りが強いのが特徴です。欧米でよく栽培されており、スープや料理の臭み消しに使われることが多いです。
日本国内で栽培されている品種で代表的なのは「トップセラー」です。
ホワイトセロリは茎が白色で、他の種類と比べると香りが弱いのが特徴です。水耕栽培で作られます。葉や茎がやわらかいので、サラダやスープなどに向いています。
セロリアックは根を食べるセロリの仲間です。根は球形で、大きさは直径10cmほどになります。香りが強く、煮込みやスープなどに使われます。
種類 | 茎の色 | 香りの強さ | 用途 |
中間種 | 緑色から黄色 | 強い | サラダ、スープ、炒めものなど |
緑色種 | 緑色 | 強い | スープ、臭み消しなど |
ホワイトセロリ | 白色 | 弱い | サラダ、スープなど |
セロリアック | 白色 | 弱い | サラダ、スープ、フライなど |
セロリの旬の時期と産地
ここでは、セロリの旬の時期と主要な産地について詳しく解説します。
旬の時期
日本国内での主要なセロリの産地として、長野県と静岡県が挙げられます。特に長野県は全国の約4割を生産している一大産地です。他の地域も合わせて、日本では一年中どこかでセロリが栽培されています。
夏から秋にかけては長野県、冬から春にかけては静岡県が主要な産地となります。このように、産地がリレーされているため、特に「旬」と感じる時期は少ないのが現状です。しかし、セロリが特においしくなるとされる時期は、春と秋です。これはセロリに適した気候で露地物が出回る時期とされています。
春と秋に出回るセロリは、その年の気候条件によっても味が変わることがあります。例えば、春は比較的温暖で湿度が高い年には、セロリの茎が柔らかく、風味も豊かになると言われています。逆に、秋は乾燥している年には、茎が硬くなりがちですが、その分、香りが濃くなることもあります。
セロリの栄養価
セロリは低カロリーでありながら、ビタミンやミネラル、食物繊維などが豊富に含まれており、健康維持に非常に有用な食材です。
主要な栄養素
セロリは見た目以上に栄養価が高い食材です。日本食品標準成分表2020年版(八訂)の数値をもとに、セロリに含まれる主要な栄養素を詳しく解説します(数値は可食部100gのもの)。
セロリはエネルギーが12kcal、水分が94.7gと、低カロリーかつ高水分の食材です。これがダイエットに適している理由の一つです。
たんぱく質は0.4gと少なめですが、これも低カロリー食材としての特性を反映しています。
脂質は0.1gと非常に少なく、コレステロールもほとんど含まれていません。これは心臓病などのリスクを低減するのに役立ちます。
炭水化物は3.6gと少なめですが、その中には食物繊維が1.5g含まれています。これは便秘解消や腸内環境の改善に有用です。ナトリウムが28mg、カリウムが410mg、カルシウムが39mgとミネラルも豊富です。特にカリウムは高血圧の予防に有効です。
ビタミンKが10μg、ビタミンCが7mgと、ビタミンもしっかりと含まれています。ビタミンKは骨の健康に、ビタミンCは免疫力向上に寄与します。
セロリの選び方と保存方法
ここでは、セロリの鮮度を確認するポイントから、家庭での正確な保存方法まで、詳しく解説していきます。これを読めば、セロリを選ぶ際の迷いや、保存で失敗することがぐっと減るでしょう。それでは、具体的な選び方と保存のポイントについて見ていきましょう。
鮮度の見極め方
新鮮なセロリは、顔を近づけただけで特有の香りがします。この香りが感じられないものは、鮮度が疑わしいと言えます。
見た目でわかりやすいポイントは葉です。黄色くなっている場合、鮮度が落ちています。緑色が鮮やかなものを選びましょう。
また、新鮮なセロリの茎はしなりにくく、張りがあります。太くて肉厚なものが良いとされています。ただし、大きすぎるものは筋が入っている可能性もあるので、断面も確認すると良いでしょう。
保存のポイント
セロリの保存にはいくつかのポイントがあります。まず、葉と茎を分けて保存することが重要です。葉が茎の水分や養分を吸い上げてしまい、すぐにしなびてしまうためです。
冷蔵での保存方法
茎は切り分けた後、流水でよく洗い、水気を切ります。その後、乾いたキッチンペーパーか新聞紙でくるんで、ラップで全体を包みます。最後に、冷蔵庫の野菜室で立てて保存します。長すぎて立てると入らない場合は、寝かせていいのでまっすぐ伸ばして保存しましょう。
葉も同様に流水でよく洗い、水気をしっかり切ります。乾いたキッチンペーパーか新聞紙で包んで、保存用のポリ袋に入れ、口を縛ります。これも冷蔵庫の野菜室で保存します。
冷凍での保存方法
茎は適当な大きさに切り、ラップをした後に冷凍用の保存袋に入れて冷凍庫で保存します。ただし、冷凍すると食感が失われるため、サラダや炒め物には向かない点に注意が必要です。
葉は熱湯でサッとゆで、冷水で冷やした後で適当な大きさに切ります。これも冷凍用の保存袋に入れて冷凍庫で保存します。