自分の家の水道水の硬度を毎日測り続けて、はや2ヶ月余り。
なぜそんなことを始めたのか?については、前回に書いた
「水道水の硬度変化と水系と美味しいスコッチの水割りと」
をごらんください。
前回までのあらすじ
そもそも事の発端は、以前に水道水の硬度変化でラーメン屋さんのスープが全滅したという事件があったことから。
(この事件の詳細は「ラーメンと水の硬度とイワシの減少とReproと」をごらんください。)
その時に、水道局の方に電話して聞いてみると、
「雨が降ると硬度が上がる」という人と、
「雨が降ると硬度が下がる」という人と、
「三郷・金町浄水場の場合、潮の干満なども成分に影響を与えるし、雨の降り方にもよるので一概には言えない」という人と、
三者三様の答えだったので、自分で実際に自宅の水道水の硬度を毎日測ることにしました。前回の記事ではは、8月22日〜9月22日までの1ヶ月間でしたが、その時の結論は、
相関係数=0.60 「中程度の正の相関=降水量が増えると水道水の硬度は上がる」
でした。9月8日に台風13号で大雨が降った4日後に、普段は75〜85ぐらいだった自宅の水道水の硬度が「110」に跳ね上がりました。
そんなことから、雨が降ると、数日のタイムラグの後に水道水の硬度は上がるのだと、いったんは結論づけていました。
水道局のデータと実際の水道水の硬度変化には違いが…
ただ、この時に水道局の年報のデータに、ちょっと気になるものがありました。
自宅の水道水は、三郷浄水場を経由して送られて来る「利根川・荒川水系」に属していますが、水道局の年報によれば、少なくともこの3年間は、10〜12月期の第3四半期に年間で最も硬度が高くなっています。
当然ながら流域の降水量が最も多いのは、7〜9月の第2四半期です。たった1ヶ月間の自宅水道水の硬度チェックながら、「雨が降ると硬度が上がる」となっているに、なぜなのでしょう?
2ヶ月あまりの調査結果では…
ということで、その後も毎日、自宅水道水の硬度チェックを続けて、はや2ヶ月あまり。まずはこのグラフをごらんください。
自宅水道水の硬度チェックを始めた8月22日から11月8日までの流域降水量(三郷浄水場より上流の利根川流域にある気象庁の観測所7地点の降水量データを合計したもの)と、自宅水道水の硬度のグラフです。
オレンジ色のラインが降水量、青いラインが自宅水道水の硬度です。赤い丸が9月8日の台風13号が来た時の降水量と、その4日後に硬度が急激に変化した時のもの、そして緑の丸はその後10月に、それなりにまとまった雨が降った時の降水量と硬度が変化したタイミングを示しています。まずはともあれ降水量と水道水の硬度の相関関係を前回に習って4日タイムラグで計算したところ、このような結果に。
相関係数=0.5 相関関係はなし
あれれ…。
こうなった理由のまずひとつめは、グラフを見ても分かる通り、タイムラグは必ずしも4日遅れではなく、10月の2回の雨の後の硬度上昇は2〜3日後でした。なので相関係数を計算する条件をもっと緻密に考えなくてはいけないということ。
そしてもう一つは、
流域合計降水量が300mmぐらいの大雨が降らないと、そんなに大きく硬度は上がらない
ということです。確かに雨が降った後に硬度は上がるようですが、かなりの大雨じゃないと、その変化量はそんなに大きくならないようです。
これは「川の周辺の土砂が大量に流れ込むような状態」にならないと大きく硬度に影響しないと言うことを意味しているのでしょうか?
雨は硬度が極めて低いので、大量の雨が降るだけなら硬度は下がるはずですから。
この部分は三郷浄水場の方がお話しされていた「雨の降り方にもよりますし…」が、どうも正しいようです。
そして、もう一つ相関係数を下げている大きな要因がありました。次のグラフをごらんください。
硬度の部分だけを拡大したグラフで見ると、なんと水道局の年報のデータ通り、8月から11月にかけて次第に硬度は上昇しています。ちなみに赤い点線は硬度変化トレンドの近似線です。
これはたぶん「雨」とは無関係のものが原因のようです。
水道水の平均硬度 | 備考 | |
8月 | 76.5 | ※8/22〜8/31まで |
9月 | 82.0 | |
10月 | 85.8 | |
11月 | 87.5 | ※11/1〜11/8まで |
実際に、月別の平均硬度も月を追うごとに増加しています。
いったい、この原因は何なのでしょうか?今のところ、まったく検討がつきません。
もし、この記事を水道局の方がお読みになっていたら…、いや水道局の方じゃなくても結構です。何が影響しているのか理由を教えていただけませんか?
今後も「自宅水道水の硬度チェック」はできる限り続けていくつもりですが、「硬度変化の謎」は深まるばかりです…
今回のところはここまでで。