BMWのブランド・ストアFREUDE by BMW
いまやオシャレな観光スポット?としても有名な麻布台ヒルズの一角にできたBMWのブランド・ストア「 FREUDE(フロイデ) by BMW」。
一階には、往年のスーパーカー BMW M1が無造作に鎮座しています。初めて実物を見ましたが、世界で470台ぐらいしか生産されなかった今や幻のスーパーカー、1億円ぐらいするんですかね。
BMWの女性スタッフに案内されて専用のエレベーターに乗ると、その二階にひっそりと佇む和食店が、今年6月にオープンしたばかりの「無題」。Reproユーザーということでこっそりお伺いさせていただきました。
玄関のそばには、BMWのバイクR12が。ハイブリッド感が半端ないです。
そしてお店の中に入ると、そこは未来…と言うか、もう異星人の宇宙船です。円形に湾曲した白木のカウンター8席。BMWがブランディングすると和食店もこんな感じになるんでしょうか。
鈴木智之料理長。Reproの前でパチリ。あの名店「松川」の副料理長をされていたというブリリアントなキャリアですが、なんとまだ33歳。Reproが実際にどう使われているのかを知りたくて、事前に何の連絡もせず予約を取ったのですが、快く迎えていただきました。
「鈴木と言う名前でお店の名前を売るより、僕たちはチームで作っているので、そのチームとして売っていきたいんですよね。」
おっしゃることも謙虚でかっこいいです。言葉通り若い人たち5人で作り上げている新時代の和食です。
「Reproは、子どもとb8ta渋谷に行った時に、かっこよくて一目惚れして、買ってこさせたんですよね。」
ありがとうございます。確かにこのスタイリッシュなお店にあつらえたかのようにReproが自然な感じにフィットしています。
と、Reproの話はさておき、まずは無題のお料理のご紹介を。
まずは先付。立派な赤雲丹です。お菓子に使える甘いとうもろこしの擂り流しの上に、軽く炙った赤雲丹。これまでの和食にちょっとだけ新しい試みを加えているところが素敵です。
カリッと焼かれた天然うなぎ。このタイミングでお凌ぎが。朝食も昼食も抜きでお腹を空かせてお伺いしたので、もうたまりません。
お造りは、宮城県産あわびと伊勢海老。黒あわびは塩で、伊勢海老は海老味噌の醤油でいただきます。申し分ありません。
長崎産のあこう(つまりキジハタですかね)と米なすのお椀、薄味だけど旨味はたっぷり。とても上品な味付けです。この季節というと「鱧とまつたけ」が一流店のお椀の定番ですが、あえて「あこうと米なす」を選ぶところが新鮮です。
キャビアと墨いか。ちょっとした高級食材コンビネーションですが、文句なく美味しいです。
甘鯛。「蒸し?」ですかね。甘鯛とか繊細な味の魚はあっさりした味付けにしがちですが、汁に上質のごま油が落としてあります。そしてこれが意外に美味しい。
人間の栄養にとって油分は必要不可欠です。あっさりして一見、油分を摂取していないかのように思える昔の和食も、実はその中に、巧妙に油分を摂取する工夫がされていました。新しいやり方のように見えて、実は温故知新。歴史の延長線上にある斬新さです。
次は、焼いた甘いいちじくと牛ヒレ肉に松茸の芯を細かく刻んだものを載せた一品。
「このヒレ肉美味しいですねえ。どこの牛ですか?」
「実は銘柄で牛を買っていないんですよ。銘柄はどこでも良くて、お肉屋さんに自分の欲しい肉質や脂の乗り方を詳しく伝えて、どこの牛でも良いから、それに最も近いものを送ってもらうようにしているんです。そしてそのやり方でうまく仕入れられています。」
またかっこいい買い方です。そしてとても合理的です。どんなに銘柄や生産者を指定しても個体差は出てしまいますし、それよりもその時に自分が求めるものに最も近い肉を取り寄せる姿勢にちょっとグッときました。
次は松茸のフライ。
さらに、おこげ・松茸・和栗・渡がにの炊き合わせと秋の味覚が続きます。
そしてここで登場するのが、氷の器に入った冷麺。真ん中をのみでくり抜いて、周りを包丁で綺麗に削っていきます。
「これをお客様一人一人に作るのは大変じゃないですか?」
「いえ、これ結構すぐに出来るんですよ。」
と言って、その場で実演してくれました。
包丁で削る作業はなんと43秒。お客様からも歓声が。サプライズもありの楽しいディナータイムです。
そろそろ締めも近づいてきました。まずは茶会席の煮えばなのように少量出された松茸のごはん。
炊いたごはんに生の松茸を乗せて蒸らしただけと。
そんなシンプルな一品が、最も松茸の芳醇な香りを漂わせます。
キンキの煮付けを肴に、新いくらをごはんの友に、締めのごはんセットです。いくらの味付けもあくまで控えめ。素材の味を生かしています。
そして最後はデザートのプリン。本当にごちそうさまでした。とても美味しゅうございました。
「先週まではしゃぶしゃぶとか、Reproをカウンター側に出していたんですよ。事前に教えていただければ、コースの中にReproを使った料理を組み込んでおいたんですが…」
いえいえ、そんなお気遣いは。Reproをちゃんと使っていただけているという事が分かっただけでもう十分です。
「今までにない新しい料理をお出ししたいんですが、だからと言って和食の王道から大きく外れてしまうとそれも違うし。そのバランスをいつも考えています。」
近未来的なフォルムの和食店「無題」さんは、まさに「温故知新」を実践しつつ、若い人たちが新しい和食を創造していくイノベーティブなお店でした。
Reproも、その新しい和食を作る作業に少しでも貢献できれば幸いです。
まだ「無題」を訪れていない全国の美食家のみなさん。
このお店を一言で言えば、どんな料理も新しい工夫が感じられ飽きさせない、でもどこかホッとして安心して食べられる、そんなお店です。
ぜひ一度お試しになられることをお勧めします。