
前回に引き続き、今回も一般家庭で作る定番おかずのひとつ?、さといも(小)もしくは小海老芋で作るそぼろあんかけのレシピを。
目次
さといもは意外にてごわい?

これは1989年に日本食品工業学会誌に掲載された論文「野菜の最適加熱時間の予測」から、さといものデータを抜粋したものです。
元の論文の狙いが「いろいろな根菜を柔らかくするまで何分煮たら最適か?を予測する」なので、「柔らかくなるまで煮ることができる最低温度は何℃か?」という問いの答えとしては、ちょっと分かりにくいのですが、どちらのグラフも縦軸はつまるところ「柔らかさ」を表し、下に行くほど柔らさが増します。そして横軸は煮ている時間です。
加熱温度ごとの直線(もしくは曲線)があり、一気に柔らかくなっているのは左右どちらのグラフも99.5℃(つまりはほぼ沸点のグツグツ沸騰状態です)、そして左のグラフでは95℃と99.5℃の差がとても大きいようにみえます。
つまり、これがかぼちゃなら92℃ぐらいでゆっくり炊いていても十分柔らかくなるのですが、さといもの場合は、思いのほか高温(少なくとも95℃以上、たぶん97〜98℃ぐらい)で炊かないと柔らかくならない、ってことですかね?(その代わりとても柔らかくなるので、あっと言う間に煮崩れてしまうというおまけも付いてきます)
そう言えば、子どもの頃、母ががんがんに炊いて溶岩のようにひび割れたさといもをよく見かけたっけ…
ということで、今回はえいやっ!で98℃で炊いてみることにしました。
さといものそぼろあんかけの材料

【材 料】
- さといも(小)もしくは小海老芋 6〜7個(250〜300g)
- 鶏むねひき肉 100g
- だし 1と1/2カップ(300ml)
- 薄口しょうゆ 小さじ4(20ml)
- みりん 小さじ2(10ml)
- グラニュー糖 大さじ1/2(6g 上白糖なら4.5g)
- 片栗粉 大さじ1(9g)
- 水(だし) 大さじ2(30ml)
- ゆずの皮 適量
もし小海老芋が手に入るなら、さといもより煮崩れしにくいのでおすすめです。
ちょっと優しめの味付けになっているので、「うちはご飯のおかずとしてガッツリ」という方は、しょうゆ大さじ2、みりん大さじ2ぐらいに増やすと濃い目の味付けになります。

煮汁が300ml強しかないので、煮る鍋は直径16cmぐらいの小さめのサイズがおすすめです。特にReproで作る場合には、鍋が大きいと煮汁が少なくて外部センサーの液面マーカーに届かない、なんてことが起きてしまうのでご注意を。
さといもの下ごしらえ

さといもの皮を剥きます。おうちのおかずなので六方剥きにはしていません。無駄が出るのがもったいないですから。(笑)
サイズが大きければ一口大にカットして水に放ち、洗ってぬめりを取ります。さらにぬめりが気になる方は、こちらの「さといものぬめり取り」のレシピをご参考に下ごしらえしてください。
そぼろは極弱火(120℃)で炒める

直径15cmぐらいのシリコン樹脂加工のフライパンで、鶏むねひき肉を炒めます。Reproであれば120℃ 、つまり「とろ火(極弱火)」な火加減ということでしょうか。シリコン樹脂加工のものであれば油を引かなくても焦げ付きません。(使い込んで表面の塗装が傷んでいると焦げ付きます)
できる限り柔らかくそぼろを仕上げたいので、本当は煮たいところですが、アクの処理など結構手間が増えるので、ここは炒めてしまいます。ただしできるだけ低温で、火を入れ過ぎないようにしてください。
煮汁・さといも・そぼろ を鍋に

調味料をすべて合わせた煮汁に、鶏そぼろ、さといもを入れて加熱します。
ひと煮立ちさせてアク取りを

まずはひと煮立ちさせて、みりんのアルコール分を飛ばすとともに、アク取りをします。ちょっと手抜きしたかったのと、落としぶた代わりにしたかったので、アク取りシートを使いました。「アク取りシートはちょっと」と言う方も、さといもが煮汁から頭を出している場合には落としぶたをしましょう。
Reproユーザーの方も、温度を安定させ、できるだけ静かに炊き上げるために落としぶたをするのがベターです。
ふたをかけて98℃で20分煮る

みりんのアルコールを飛ばし、アク取りをしたら落としぶたに加え、さらに鍋のふたもずらしてかけ、できるだけ温度を安定させて98℃で20分間加熱します。

20分経ったら竹串などで火が通っているか、固さチェックをします。まだ固いようなら当然ながら柔らかくなるまで追加加熱します。固さがOKなら次の工程へ。
とろみをつける

いったん火を止めて、水溶き片栗粉を少しづつ入れ、シリコンへらなどでかき混ぜながら、再度加熱して適度なとろみをつけていきます。水溶き片栗粉を入れる前に、いったん中のさといもをバットなどに取り出しておきましょう。
理由はさといもがじゃまで全体を均一にかき混ぜられず、「ダマ」の原因になったりするから。
面倒くさくても、このひと手間で仕上がりが変わります。
さといもを戻して温める

適度なとろみがついたら、さといもを戻して軽く温めます。
このあたりの工程は、煮汁の粘性が高くなっているので、正確な測温のためにReproユーザーの方は、外部センサーの先端が鍋底に接するようにセットするという「裏ワザ」を使ってください。

煮汁に粘性がある場合の温度管理の方法は、こちらのコラム記事に詳しく説明していますので、参考にしてください。
ということで、さといもが温まったら完成です。
器に盛り付け、お好みで柚子の皮などをトッピングしたら完成です。

「さといものそぼろあんかけ」のReproレシピはこちらです。寒い日が続いていますので、ほっこりしたおかずが体にしみます。