知っ得!あさりの旬と注目産地 身近だからこだわりたい選び方

あさりといえば、潮干狩りを思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?掘り当てるあの感覚は、子供も大人も春の海岸で熊手を手に楽しめるレジャーです。そんなあさりには、一年に二度の旬があることをご存じですか?それぞれの時期に最も美味しくなる理由があり、産地によっても味わいが異なります。

近年では国内の漁獲量が減少し、市場に出回るあさりの大半が輸入品となっていますが、本記事では、国産あさりの旬の時期や産地ごとの特徴、そして美味しいあさりの選び方まで、知っておきたい情報を詳しくご紹介します。旬のあさりをより美味しく味わうヒントを、ぜひチェックしてみてください!

あさりの旬はいつなのか

あさりの旬と聞くと春だけを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実は日本国内のあさりには「春」と「秋」の二度の旬が存在します。ここでは、なぜあさりに二度の旬があるのか、春と秋でどのように味が違うのか、さらに北海道のように年に一度しか旬がない地域についても詳しくご紹介します。

現在流通しているのはほぼ輸入品

かつて日本の沿岸各地で豊富に漁獲されていたあさりですが、現在、スーパーや市場などで見かけるあさりの多くは輸入品が占めています。その背景には、国内のあさり資源量の減少と、安定供給を求める需要の高まりがあります。

特に、国内のあさりは、1980年代後半以降、漁獲量が急激に減少しました。その結果、国内の天然ものだけでは需要を満たすことが難しくなり、現在では国内市場に出回るあさりの約9割以上が輸入品となっています。

スーパーで販売されているあさりのパックには、必ず「産地」が表示されています。この表記をしっかり確認することで、国産か輸入品かを見分けることが可能です。輸入品について近年問題視されていたのが、あたかも国産であるかのように販売されていたケースです。こうした状況を受けて、2022年からはより厳格な産地表示の義務化が進められています。たとえば「熊本県産(中国産)」といったように、国内で蓄養(短期間一定の場所に保存)した場合でも原産地がわかるような表記が求められています。このルールによって、消費者がより正確に産地を知り、安心して購入できる環境が整えられつつあります。

また、国内の一部地域では、あさりの資源回復に向けた努力も続けられています。例えば熊本県や愛知県、三重県などでは、稚貝の放流や漁場の環境整備を進めており、少しずつですが国産あさりの漁獲量も回復傾向を見せ始めています。ただし、依然として市場に出回るあさりの大部分は輸入品であり、国産あさりは価格が高めで販売される傾向にあります。

国内の旬は2回ある

日本国内で流通する国産あさりの旬は、春と秋の2回あります。

まず、春の旬は3月から5月頃です。この時期のあさりは産卵前で栄養をたっぷり蓄えているため、身がふっくらとし、旨味も豊かです。特に冬の間にしっかりと栄養を吸収しているため、春先には最も身入りがよく、ぷりっとした食感を味わうことができます。また、この季節は潮干狩りシーズンとも重なり、全国各地の浜辺で新鮮なあさりが採れる時期でもあります。

秋の旬は9月から10月頃にやってきます。春に産卵を終えて一度身が痩せたあさりも、夏の間に再び栄養を蓄えた美味しいあさりとして市場に出回ります。秋のあさりは貝殻がしっかりとして身も引き締まり、味わい深いダシが出るのが特徴です。煮物や味噌汁に使うと、濃厚な旨味を堪能できます。
このように、一般的に本州以南では春と秋の2回、旬を迎えるあさりですが、例外もあります。たとえば、北海道のあさりの旬は年に1回、春から初夏(4月〜6月頃)だけです。北海道は本州に比べて海水温が低く、あさりの産卵や成長のサイクルが年1回だけだからです。

あさりの主な産地と特徴を徹底解説

日本各地で漁獲されるあさりは、それぞれの地域の環境に適応し、独自の特徴を持っています。例えば、全国一の漁獲量を誇る愛知県のあさりは肉厚で濃い味わいが特徴。一方、北海道産のあさりは冷たい海で育つため、締まった身と濃厚な旨味が魅力です。ここでは、国内の主要産地ごとの漁獲量や、地域ごとのブランドあさりの旬について詳しく解説します。

国内主要産地の収穫量

前述の通り、あさりの国内の漁獲量は近年では大幅に減少しています。そのような中で、あさりの主要産地となっているのが愛知県や北海道などです。ここでは、統計情報を中心に、日本国内における主要産地ごとの漁獲量や特徴について詳しく見ていきましょう。

まず、全国1位の漁獲量を誇るのが愛知県です。農林水産省がまとめた令和4年漁業・養殖業生産統計によると、2022年の漁獲量は3,001トンと、他県を圧倒しています。愛知県のあさり漁が盛んな理由としては、三河湾をはじめとする豊かな干潟や浅瀬が広がり、あさりの生息に適した環境が整っていることが挙げられます。三河湾産のあさりは肉厚で味が濃いと評価が高く、全国各地に流通しているほか、地域ブランドとしても知られています。

2位は北海道で、漁獲量は1,620トンです。本州とは異なり、北海道産のあさりは冷たい海水で育つため、身が締まり濃厚な旨味と弾力のある食感が特徴です。北海道のあさりの旬は年に一度(春から初夏)であることも特徴的で、全国の中でも一味違った味わいが楽しめることから、人気があります。

3位の三重県は、306トンと愛知県・北海道には及ばないものの、近年でも安定した漁獲量を維持しています。三重県もまた伊勢湾などの穏やかな海域を持ち、古くからあさり漁が行われてきた地域です。三重県産のあさりは、地元市場だけでなく全国に流通しており、旨味と風味のバランスが良いと料理人からも評価されています。

4位の静岡県は、196トンと比較的規模は小さいものの、駿河湾や遠州灘といった漁場で採れるあさりが有名です。静岡県産のあさりは粒が大きめで、煮ても焼いても縮みにくいのが特徴です。特に県内では味噌汁や酒蒸しに使われることが多く、地元の食卓には欠かせない存在です。

5位の千葉県では、108トンの漁獲量が報告されています。千葉県は東京湾沿岸の広大な干潟を有し、かつては国内有数のあさり産地として知られていました。現在でも「船橋三番瀬」など、限られた場所で質の高いあさりが漁獲されています。千葉県は東京湾でも最大級の潮干狩り場があることでも有名です。

いま挙げた主要産地であっても、さまざまな課題があり、資源回復のための取り組みが行われています。たとえば、愛知県や三重県では、稚貝の放流漁場の環境改善が続けられており、北海道でも漁獲制限や資源調査が実施されています。こうした努力の積み重ねによって、少しずつあさりの漁獲量が回復傾向にある地域も出てきていますが、依然として安定供給には課題が残ります。

地域ごとの旬とブランド

あさりは全国の沿岸部で漁獲されますが、地域によってはブランド化されています。ここでは、代表的なブランドあさりとその旬についてご紹介します。

あいちあさり(愛知県)
「あいちあさり」は、三河湾の恵まれた海域で育つあさりです。特徴としては、粒が大きく、身が厚くふっくらとしています。また、三河湾は潮の流れが適度にあり、餌となる植物プランクトンが豊富なため、あさりの身入りも非常に良いとされています。

アサリえもん(北海道厚岸町)
次にご紹介するのが、北海道厚岸町のブランドあさり「アサリえもん」です。北海道は本州と異なり、あさりの旬が春から初夏(4月〜6月頃)の年1回のみとなっていますが、冷たい海水で育つ「アサリえもん」は身が締まり、甘みと旨味が凝縮されています。その食感はぷりっとしており、濃厚なダシがとれるそうです。
「アサリえもん」の大きな特徴は、徹底した品質管理とブランド認証制度にあります。厚岸町では、稚貝を丁寧に育てることでサイズや味の均一化を図り、厳しい基準をクリアしたあさりだけが「アサリえもん」として出荷されるのです。また、地元のきれいな水で十分に砂抜きする手間をかけて出荷されています。

浜名湖のあさり(静岡県)
静岡県の浜名湖で育つ浜名湖のあさりも全国的に知られるブランドあさりです。浜名湖は汽水湖と呼ばれる淡水と海水が混ざり合う湖で、豊富な栄養分を含むため、あさりの成育にとても適した環境です。浜名湖のあさりは、身が大きく肉厚でプリッとした食感が特徴とされています。浜名湖産のあさりも、地元の漁業者による資源管理が徹底されていますが、近年は特に漁獲量が激減しており、自治体も加わって資源回復のためにさまざまな対策を行っています。

美味しいあさりの見分け方と選び方のコツ

スーパーなどで売られているあさりの中には、鮮度が落ちたものや、輸入品と国産品が混在していることもあるので、見た目や産地表示をしっかりチェックすることが大切です。いくつかのポイントをおさえれば、プリプリとした旨味たっぷりのあさりを手に入れることができます。新鮮なあさりを見分けるコツや、産地表示の正しい読み方についての知識を身につけ、美味しいあさりを選べるようになりましょう!

新鮮なあさりを見分けるためのポイント

あさりが新鮮かどうか見分けると言われても、貝類の目利きなんてやったことない人が大半だと思います。しかし、ちょっとしたコツを知っておくだけで、美味しいあさりを選ぶことができるようになります。ここでは、新鮮さを見抜く4つのポイントをご紹介します。

1. 口がしっかり閉じているかを確認する

まず大切なのは、あさりの口がしっかり閉じているかどうかです。元気なあさりは貝殻を閉じているのが基本。もし口が開いているものがあっても、指で軽く押さえてみて素早く閉じる反応があれば新鮮です。逆に、触れても閉じない場合や、だらしなく開いたままのものは鮮度が落ちているサインなので避けましょう。シンプルですが非常に重要なチェックポイントです

2. パック内の海水が澄んでいるかをチェックする

スーパーなどでよく見かける海水入りパック詰めのあさりを選ぶ際には、中の海水が透明に澄んでいるものを選ぶことが大切です。濁っている場合は、あさりが弱っていたり、死んでしまっている可能性があるため注意が必要です。見落としがちなポイントですが、パックあさりを選ぶ際にはしっかりチェックしましょう。

3. 殻の形で育った環境を見極める

意外と知られていませんが、あさりの殻の形から、育った環境や身の入り具合を推測することができます。砂地など柔らかい地面で育ったあさりは、殻が平たく大きく育ちやすく、身もふっくらとしています。一方、硬い地面で育つと、殻が丸みを帯び、小ぶりなものが多い傾向にあります。そのため、一般的に美味しいあさりを選びたいときは、平たく広がった形のものを選ぶとよいでしょう。見た目の違いを意識することで、より満足度の高いあさりに出会えます。

4. 殻の厚さから身入りを推測する
あさりの殻の厚さも、新鮮で身の詰まったあさりかどうかを見分ける大事なポイントです。一般的に、殻が薄めのあさりは、身がしっかりと入っていることが多いとされています。これは、砂地など柔らかい場所で育ったあさりに多く見られる特徴です。殻が薄いということは、貝が餌をよく食べ、成長に十分な栄養を取っている証拠ともいえます。見た目では判断が難しいと感じるかもしれませんが、実際に持ってみて軽すぎず、それでいて殻が分厚すぎないものを選ぶとよいでしょう。

スーパーで迷わない!産地表示の読み方

スーパーであさりを購入するとき、「国産」と書かれていても本当に日本で採れたあさりなのか不安に感じたことはありませんか?実は、過去には輸入あさりが「国産」として販売される問題があり、消費者の信頼が揺らぐ事態となりました。こうした背景から、令和4年(2022年)にあさりの産地表示ルールが厳格化され、消費者が正確にあさりの産地を知るためのルールが整備されました。ここでは、スーパーで迷わず正しい産地表示を見分けるコツを詳しくご紹介します。

そもそも「産地表示」の問題とは?

農林水産省の調査(令和3年)によると、全国の広域小売店で「熊本県産」として販売されていたあさりの多くが、実際には外国産が混じっている可能性が高いことが判明しました。この事態を受けて、熊本県では一時的にあさりの出荷停止を決定するなど、全国的な問題に発展しました。

そこで政府は、令和4年4月から「原産地表示ルール」の適用を厳格化し、消費者が正確な情報を得られるようにしました。

新しい産地表示ルールのポイント

  1. 輸入あさりは必ず「輸出国」を表示
    たとえ日本国内で蓄養(短期間生かして管理すること)されても、原則としてもとの輸出国(中国産・韓国産など)を明記しなければなりません。たとえば、中国から輸入して熊本県で蓄養した場合は「熊本県産(中国産)」と表示されます。
  2. 国内で長期間育てた場合のみ「国産」表示が可能
    例外的に、輸入されたあさりでも、1年半以上国内で育成(養殖)され、必要な書類が保管されている場合に限り、日本の産地(例:熊本県産)として表示できます。
  3. 稚貝(赤ちゃんあさり)の導入も書類で管理
    国内の他地域から稚貝を導入した場合も、国内産であることを証明する書類が必要とされています。これにより、輸入稚貝と国内稚貝の区別が徹底されます。

スーパーでのチェックポイント

スーパーであさりを購入するときは、次の点に注意してラベル表示を確認しましょう。

  • 「○○県産」とだけ書かれている場合
    国内の漁場で採れた純国産のあさりです。例:「熊本県産」「愛知県産」など。
  • 「○○県産(中国産)」や「○○県産(韓国産)」と書かれている場合
    輸入されたあさりを日本国内で蓄養したものです。この場合、完全な国産ではなく、輸入品が含まれていることを意味します。
  • 単純に「中国産」や「韓国産」などと書かれている場合
    → 完全な輸入あさりです。比較的安価に販売されることが多いです。

表示ルールを理解することで安心・納得の買い物を
今回の産地表示ルールの厳格化により、消費者が誤解しやすかった表示が大きく改善されました。たとえば、過去には単に「熊本県産」と書かれていたものが、実は中国からの輸入品だったケースもありましたが、今では「熊本県産(中国産)」と明確に表示されるため、安心して購入を検討できます。括弧書きで併記されている産地情報が非常に重要なポイントですので、見逃さないように注意しましょう。

あさりの価格と産地の関係にも注目

また、表示とあわせて気をつけたいのが価格とのバランスです。一般的に、国産あさりは輸入品よりも価格が高い傾向があります。もし「国産」と書かれているのに非常に安価な場合、(外国産)との併記がないかを再確認するのが安心です。価格と表示を合わせてチェックすることで、より信頼できるあさりを選ぶことができます。

あさりをさらに楽しむための保存方法と豆知識

あさりを美味しく味わうためには、適切な保存方法を知っておくことが大切です。せっかく新鮮なあさりを手に入れても、保存方法を間違えると風味が落ちたり、鮮度が失われてしまうことも。そこで、本記事では、短期間で使うための冷蔵保存や、長期保存に適した冷凍方法について詳しく解説します。また、あさりに含まれる栄養素や健康効果についても紹介。保存テクニックと豆知識を身につけて、あさりをもっと堪能しましょう!

長持ちさせる保存テクニック

せっかく新鮮なあさりを購入しても、すぐに使いきれないこともありますよね。そんなときに役立つのが、あさりを美味しいまま長持ちさせる保存テクニックです。あさりは適切な方法で保存すれば、鮮度と旨味を保つことができます。ここでは、冷蔵保存と冷凍保存の正しい方法について詳しくご紹介します。

短期間で使うなら冷蔵保存

あさりを購入後2~3日以内に使う場合は、冷蔵保存が基本です。ただし、そのまま冷蔵庫に入れるのはNG。あさりは生きているため、呼吸ができる状態を保つ必要があります。

冷蔵保存の手順
  1. あさりの砂抜きをしっかり行う
     購入してきたあさりは、まずしっかり砂抜きをしておきましょう。砂が残っていると調理の際にジャリっとした食感になるため、ここは丁寧に。
  2. 新聞紙やキッチンペーパーで包む
     砂抜き後のあさりを湿らせた新聞紙やキッチンペーパーでふんわり包みます。乾燥を防ぎつつ、通気性を確保するためです。
  3. バットや保存容器に入れて冷蔵庫へ
     包んだあさりをバットや保存容器にのせ、冷蔵庫(できれば野菜室)に入れます。このとき密閉容器に入れるのはNGです。あさりが呼吸できなくなり死んでしまう原因になります。
  4. 保存期間は目安として2日以内
     冷蔵保存はあくまで短期的な方法。2日以内に使い切るのが美味しく食すポイントです。

長期は冷凍保存

すぐに食べる予定がない場合は、冷凍保存がおすすめです。正しく冷凍することで、1か月ほど保存可能になります。しかも、冷凍することで旨味成分(コハク酸など)が増し、出汁がよく出るというメリットも。

冷凍保存の手順
  1. 砂抜きと殻の汚れ落とし
     冷凍前に必ず砂抜きをしっかり行い、その後殻についた汚れを流水で洗い流します。
  2. 水気をよく切る
     洗った後はキッチンペーパーでしっかり水気を拭き取ることが大切。水分が残っていると冷凍時に氷になり、風味が落ちる原因になります。
  3. 冷凍用保存袋に入れる
     あさり同士が重ならないように並べ、できるだけ空気を抜いて密閉します。ジップ付きのフリーザーバッグが便利です。
  4. 保存期間は約1か月
     冷凍あさりは1か月以内に使い切るのが理想的。長期間保存すると味や食感が落ちてしまいます。ちなみに冷凍あさりは、解凍せずにそのまま加熱調理できます。味噌汁やパスタ、酒蒸しなどに入れると、加熱の過程で殻が自然に開き、旨味たっぷりの出汁が出るためおすすめです。特に冷凍あさりは出汁が濃く出るので、汁物や炊き込みご飯にぴったり。解凍の手間がかからないのも嬉しいポイントですね。

意外と知らない!あさりの栄養価と健康効果

あさりは、和食や洋食、中華などさまざまな料理で活躍する身近な貝ですが、実はその小さな身の中に驚くほど豊富な栄養素が詰まっていることをご存じでしょうか?健康や美容にうれしい効果が期待できる、まるで天然のサプリメントのような存在です。ここでは、あさりの代表的な栄養素と、その効果について詳しくご紹介します。

鉄分が豊富で貧血予防に最適!

あさりには鉄分が豊富に含まれています。文部科学省の食品成分表によると、100gあたり3.8mgの鉄分が含まれており、これは他の魚介類と比べてもトップクラスの含有量です。鉄分は赤血球のヘモグロビンの材料となり、酸素を体中に運ぶ大切な役割を果たします。特に女性や成長期の子ども、妊娠中の方など、鉄分不足になりやすい方にとって、あさりは手軽に鉄分を補える食材としておすすめです。

ビタミンB12が豊富!脳と神経の健康に

あさりはビタミンB12も非常に豊富で、100gあたり52.4μgと、魚貝類の中でも群を抜いた含有量を誇ります。ビタミンB12は神経の働きを正常に保つために欠かせない栄養素で、不足すると記憶力や集中力の低下、しびれなどの原因にもなります。また、赤血球をつくるサポートもするため、鉄分とあわせて貧血予防にも効果的です。とくに高齢の方やストレスの多い方にとって、積極的にとりたい栄養素です。

タウリンで疲労回復&生活習慣病予防

あさりには、タウリンも多く含まれています。タウリンはアミノ酸の一種で、肝臓の働きを助けることでアルコール代謝のサポートや、コレステロール値を下げる働きも知られています。また、血圧を正常に保つ効果もあるとされ、生活習慣病の予防にもつながると期待されています。疲れやすいと感じるときや、飲み会が続く時期などには、あさり料理を取り入れるとよいでしょう。

高タンパク・低脂質でダイエットにも◎

あさりは高タンパク質・低脂質な食材で、100gあたりタンパク質6.0g、脂質0.6gと、とてもヘルシーです。そのため、ダイエット中のタンパク質補給にもぴったり。脂質が少ないので、100gあたり30kcalと、カロリーも低い食材です。しかも、良質なタンパク質を含むことで筋肉量の維持にも役立ちますので、健康的に痩せたい方や、運動をしている方にもおすすめです。

亜鉛も含まれ、免疫力アップに!

意外と知られていないのが、あさりには亜鉛も含まれていること。亜鉛は免疫機能の維持や細胞分裂に欠かせないミネラルで、風邪予防や肌の健康を保つのに役立ちます。特に現代人はストレスや偏った食生活で亜鉛が不足しがちなので、あさりを日々のメニューに加えることで手軽に亜鉛補給ができます。

あさりを使った郷土料理

日本各地には、あさりを使った個性豊かな郷土料理が存在します。東京の「深川めし」は、江戸時代から続く漁師飯として有名で、あさりの旨味たっぷりの味噌汁をご飯にかけたシンプルながらも奥深い一品。一方、愛知県の「串あさり」は、甘辛く煮たあさりのむき身を串に刺した珍しい郷土料理で、祭りの定番として親しまれています。さらに、千葉県には「あさりのふうかし」というシンプルな酒蒸し料理があり、こちらもあさり本来の旨味を存分に楽しめます。それぞれの地域の風土や歴史が詰まった郷土料理を知ることで、あさりの楽しみ方がぐっと広がるはずです!

深川めし(東京)

「深川めし」のルーツは、江戸時代の深川(現在の東京都江東区)にさかのぼります。当時の深川は、隅田川の河口に位置する漁師町で、海や川から豊富に水産物が獲れる地域でした。なかでも「あさり」は身近な貝で、たくさん獲れていたため、漁師たちの栄養源として重宝されていました。
漁から戻った漁師たちが、獲れたてのあさりを味噌汁仕立てにしてごはんにぶっかけて食べたのが「深川めし」の始まりとされています。忙しい漁師たちにとって、手早く、そして栄養もしっかりとれる料理だったのです。こうした歴史から、深川めしはいわゆる「漁師飯」としても知られています。

串あさり(愛知)

串あさりはその名の通り、あさりのむき身を串に刺した独特の料理で、濃厚な甘辛味とあさりの旨味が楽しめる一品です。全国的にはあまり知られていないかもしれませんが、地元・愛知では古くから親しまれてきた名物料理であり、祭りや行事の際にも欠かせない存在となっています。
串あさりの発祥は、あさりの名産地として知られる愛知県の三河湾沿岸地域です。三河湾はあさりの漁獲量が豊富で、身の大きさと旨味が全国でも高く評価されています。この地域で獲れる良質なあさりを長く保存し、手軽に食べられる形に工夫した結果、生まれたのが串あさりです。あさりは通常、殻付きで販売されることが多いですが、串あさりではむき身を使用するため、手軽にそのまま食べられる点も大きな特徴。保存性を高めるためにしっかりと煮付けたうえで串打ちされているので、長く楽しむことができます。

ふうかし(千葉)

出典:農林水産省ウェブサイト(https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/fuukashi_chiba.html)

ふうかし」は、千葉県の郷土料理として古くから伝わるあさりを使った蒸し料理です。千葉県の中でも特に東京湾沿岸部を中心とした地域で親しまれてきたこの料理は、あさり本来の旨味を生かした、シンプルながらも味わい深い一品です。地元では「風干し(ふうかし)」とも呼ばれることがあり、かつては家庭の食卓だけでなく、漁師のまかない料理としても親しまれてきました。
ふうかしの最大の特徴は、あさりを殻ごと酒やしょうゆなどで蒸し上げるという調理法にあります。味付けは非常にシンプルで、あさりが持つ自然な塩味や旨味を引き出すことを重視しています。そのため、調味料は最小限にとどめられ、あさりそのものの味わいが存分に楽しめるのが魅力です。
千葉県の沿岸地域では、古くからあさり漁が盛んであり、旬の時期になると新鮮なあさりが豊富に手に入りました。そうした恵まれた環境の中で、素材の持ち味を活かし、手間をかけずにおいしく食べる方法として「ふうかし」が生まれたと考えられています。現在でも家庭料理として作られるほか、地元の郷土料理店や旅館などで提供されており、千葉の海の幸を代表する一品です。

今回の記事で、身近なあさりの魅力をさらに知っていただけたらうれしいです。
最後にReproをお持ちの方へのアドバイス。Reproで50℃のお湯を作って5分間ほどあさりを入れておくと、時短で砂抜きができるので、ぜひ活用してオリジナルレシピを作ってみてくださいね。

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